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イギリス英語は「発音でお里が知れる」を初めて知った日

~ 出身地も、階級も

· About me,発音

私がなぜイギリス英語を教えるに至ったか、About me シリーズ「人生を変えたイギリス英語との出会い」の続きです。

さて、15歳で初めてイギリス人ばかりの環境に入った私は、なにせブリティッシュとアメリカンの違いすら知らないレベルでしたから、当然イギリスの中にも方言などの差があることもわかっていませんでした。

最初に「地域による差」について知ったのは、転校して間もないある朝のホームルーム。
私のことをいつも気にかけて下さっていた学年主任の先生が、私たちのホームルームクラスを見にいらした時、担任の先生のことをこんな風におっしゃいました。

「この人の英語は北の訛りだからね。
   バターのことを『ブター』と言うから、真似しちゃダメだよ(笑)」

え?
バターがブター!?
へんなの。
これが北の方言?北ってどこ?

この学校はイギリス国外にあるので、先生も生徒もそれこそイギリス全土から来ていました。
今の私なら、「あらっ、あなたのその発音はここの出身ね!」と嬉々としていたはずですが(笑)、当時はもちろんまだ発音を聞き分けることなどできず、そのうえ地理もわかってません。イギリスと言えばロンドンしか知らないし。

今ならネットですぐ検索、なんでしょうけれど、当時は地図帳ひっぱりだしてきていちいち確認しないと、イギリスの地理・地名なんてわからないわけです。
今の子供たちとの情報量、基礎知識の差を感じますね。

 

さて、イギリス英語の発音にはもうひとつ、「階級の差」と言うものがあります。
階級なんてはるか昔のものだと思っていましたが、イギリスには今でも歴然とあります。

階級によって英語が違うらしい、というのを最初に知ったのもこの学校でした。
言葉好きな私にとってよほど衝撃だったのか、この時のことも鮮明に覚えています。

イギリス人学校3年目、18歳の頃。
ある日、同級生の何人かが悪さをして、ちょっとだけ警察のごやっかいになることがあったそうで、翌日はみんなその話でもちきりでした。
(英軍ベースキャンプ内のことなので、警察官も当然イギリス人です。)

その当事者の一人がいきさつを私に説明してくれたのですが、その時彼女が、

I speak good English, so they trusted me and let me off.
「私は『いい英語』を話すから、警察の人は私のことを信じて(他の子たちより先に)釈放してくれたの。

……いい英語?

good English は普通、you speak good English! = 英語上手ね、などと使われますが、もちろんここではそういう意味ではなくて、要は、その仲間たちは下の階級(労働者階級)の発音で話すけれど、自分は上の階級の発音と話し方だから、警察の人も自分のことを「ちゃんとした家庭の娘だ」と判断した、という意味。

こう書くと彼女がとても傲慢なようですが、本人にはそんなつもりはなく、単に事実を述べた、という感じだったんでしょうね。

でも発音の階級差に関するこういう本音って大人からはまず聞けないので、よくぞ言ってくれた!と今は感謝しています。

でも当時の私は、
言われてみれば彼女の話し方はみんなと違う気がする、
話し方も発音も格調高く聞こえる気がする、
とぼんやり思っていただけで、具体的に何がどう違うのかわかるようになるのは、これより何年も後のことでした。

続きはまた次回。

 

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